以下の目的のため、現在、在宅医療データベースを構築しています。
① より良い在宅医療の提供体制を整えるための共通基盤の構築
患者さんが住み慣れた家、そして地域でできる限り充実した生活を営めるよう、医療・介護スタッフが連携し、チームによってサポートをすることが在宅医療には求められています。しかしながら、患者さんに携わる各チームの力量に任せられているのが現状です。このデータベースでは、在宅医療の現状を把握し、よりよい在宅医療の提供体制を整えるための共通基盤の構築を行います。
② 在宅医療の質向上に向けての支援
共通基盤の構築により収集されたデータを基に解析を行うことで、在宅医療における患者さんのニーズや在宅医療の課題を理解し、さらには、在宅医療の質向上に向けての改善策を組み立てることができるようになると考えられます。在宅医療の特徴や意義を明確化するためは、以下の視点を導入する必要性があると考えています。
A) 患者さんの状態について包括的な視点からの評価
B) 患者さんの生活の質の評価
③ 患者さんに最善の在宅医療を提供するための政策提言
データ解析から得られた知見をもとに、在宅医療における患者さんのニーズ、また医療財源の適正配置など様々なことを、根拠に基づいた形で提供できるように目指します。
東京大学と連携協定を締結している千葉県柏市より、医療介護レセプトや要介護認定調査等の匿名化されたデータ提供を受け、地域包括ケアシステムの構築に資する各種集計分析を行っています。各地の地域包括ケアシステムを継続的に発展させていくためには、持続可能性の高い評価機構を内包する必要があり、官学連携を通じてそのあり方も検討しています。そしてこれらデータは、研究マインドをもった実践家の養成にも活用されます。
2011~2014年にかけて東京大学高齢社会総合研究機構を中心に取り組んできた多職種情報共有システムについて、同システムを利用する医療介護従事者の利便性を向上させる(例えば、入力の二度手間を解消する)べく、システムベンダーを越えて、共有情報項目の内容や共有手法の標準化を目指した研究に取り組んでいます。
在宅医療に関する国内外の文献を系統的にレビューすることにより、在宅医療に関するエビデンスの収集と体系化に取り組んでいます。
在宅医療に関するエビデンスを12の疾患・病態ごとにまとめた系統的レビュー(エビデンス集)の作成にも協力しています。(厚生労働科学研究費補助金・地域医療基盤開発推進事業(国立高度専門医療研究センターによる東日本大震災からの医療の復興に資する研究)「被災地の再生を考慮した在宅医療の構築に関する研究」(分担研究者:秋下雅弘、鳥羽研二)により行われた。)
「在宅医療に関するエビデンス:系統的レビュー」柏市の総合特区制度を含む訪問リハビリテーションサービスが利用者・主介護者にもたらす効果を検証するため柏市在宅リハビリテーション連絡会、柏市、東京大学の三者による実践家参加型の共同研究を実施しています。
また、在宅療養者に対する夜間休日臨時対応に関するアンケート調査を全国の診療所・訪問看護ステーションを対象に行っています。
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